ECサイトの売上が上がらない方へ!改善の定番施策43選を公開します
経営&ECの二刀流コンサルタント、エクト経営コンサルティングの塩島です!
この記事はECサイトの売上が伸び悩んで行き詰まりを感じていたり、売上の改善策がわからずお悩みの中小企業様に向けて、売上を上げる新たなアクションを見つけていただくための内容となっています。
売上=アクセス数×転換率×客単価。
この黄金の方程式は、ご存知の方も多いと思います。ECサイトで売上を上げるなら、アクセス数、転換率、客単価、この3つのいずれかを向上させるしかありません。
そこでEC業界15年以上の経営コンサルタントが、3つの要素を改善するための定番施策を43選ピックアップし、この記事に全部まとめてみました。内容は特殊なものではなく、一般的なECサイトに共通する汎用的な施策を中心に挙げているので、多くの中小企業にとって現実的な選択肢となり得るものです。
今まで気づいていなかった施策、これから取り組むべき施策、自社ができていなかった施策など、ぜひこの記事を読んで考えてみてください!
目次
アクセス数向上でECの売上を改善する施策
お客様のアクセスが無ければ、何も始まらないのがネットショップ。多くの場合、長期的なデータの推移を見てみると、売上がアクセス数に比例していることがわかります。現状の集客施策に見落としがないか、以下でチェックしていきましょう。
広告を利用する集客施策
最も手っ取り早く集客が実現でき、一定の成果が見込めるのが広告施策です。中小企業のEC運営においても、WEB広告を効果的に活用することがほぼ不可欠となっています。広告の種類は多岐にわたるため、自社にとって適切なものを見極めるのがポイントです。
Google広告
Googleによって提供される様々な広告を総称して、Google広告と呼んでいます。そのメニューは多岐にわたりますが、検索結果に表示されるリスティング広告や、バナー等によるディスプレイ広告などが代表的です。
Googleのサービスを利用する膨大なユーザーに対して、様々な細かい条件を設定して広告配信できるため、お金さえかければ絶大な集客力を実現できます。基本的には自社ECサイトに流入させる目的で使いますが、場合によっては楽天市場等のECモールや、SNSへの流入に活用するのも一手です。
Meta広告
InstagramやFacebookに配信される広告の総称で、アプローチしたいユーザーの姿が明確となっている場合に向いています。Meta社に蓄積された膨大なデータを元に、興味や行動に基づいたターゲティングができるため、購買意欲の高いユーザーに効果的にリーチできます。
費用対効果が高い傾向にあり、少額かつ手軽に始められるため、Meta広告は既に多くの中小企業が利用しています。画像や動画を使った広告が中心で、基本的にはSNSを見ているユーザーに視覚的に訴求する形となります。配信内容は露骨な売り込みというよりも、いかに消費者の興味を惹くか、という観点で考えた方が成果が出やすいです。
モール内広告
ECモールに出店している場合に使える集客施策です。
楽天市場やamazonといったECプラットフォームが、出店者向けに提供している広告メニューを活用します。出店している事業者様と支援現場でお話しすると、使っている方は多数いらっしゃいますが、有効に活用できていないという場合も多いです。本当に有効活用できているか自信が無い方は、この機会に運用方法を見直してみてください。
どのECモールにおいても、リスティング形式の広告は比較的成果が出やすく、少額の予算で始められます。ECモールで広告を使わないというのも一つの戦略ではありますが、多くの場合は利用した方が効率的なので、自社に最適な形での運用をぜひ検討してみましょう。
その他の広告
世の中には他にも様々なWEB広告が存在しているため、ここでは網羅しきれないのですが、掲載場所や運用方法はだいたい似通っています。あまり知られていない広告媒体が、実は抜群に高い費用対効果を発揮する可能性もあるので、ぜひ展示会等で情報をキャッチしにいきましょう。
どの広告媒体でもよくある形態として、リスティング広告とバナー広告が挙げられますが、これらは目的に応じて使い分けることが肝要です。
一般的にリスティング広告は、ニーズが顕在化した購買意欲の高いユーザーに効果的で、即時的なアクセスと売上の獲得に最適。一方でバナー広告は、潜在顧客へのアプローチに適しており、ブランド認知やリターゲティングなどに適しています。
WEB以外における広告の手法については、こちらの記事で検討してみてください。
SEO対策による集客施策
検索結果の上位に表示させることを狙うSEO対策は、大企業から中小企業まで様々な事業者が取り組むようになり、年々難易度が上がっている印象です。効果が出るまで長い時間がかかるのが難点ですが、成功すれば得られるリターンが大きい施策となります。
内部SEOと外部SEO
一般的にSEO対策という言葉が指すのは、Googleの検索順位上位に表示させることであり、ECではそこからの集客増大を狙います。SEOに取り組む上では、まず内部SEOと外部SEOを理解する必要があります。
内部SEOとは、サイト構造やコンテンツを最適化し、検索エンジンが内容を正しく評価できるようにする取り組みのことです。具体的にはキーワード配置、サイト速度改善、モバイル対応、内部リンクなどの設定となります。
一方で外部SEOとは、シンプルに他サイトからのリンクを獲得するという施策のことです。外部SEOは自分でコントロールしづらい部分なので、まずは内部SEOをしっかりと整えることを優先すべきでしょう。
コンテンツSEO
ユーザーの知りたいことや解決したいことなど、ある検索キーワードの検索意図を満たすためのコンテンツを制作するという施策です。インターネット上に存在する記事や動画といったコンテンツは、常にGoogleによって評価されており、サイト全体の集客向上に大きな影響があります。
最近はコンテンツの質にも高い水準が求められており、AIに書かせた文章をそのまま載せるだけではGoogleに見抜かれ、低い評価をつけられやすいようです。
また記事制作にはかなりのリソースがかかるため、途中で更新を断念してしまう中小企業様も多いです。腰を据えて取り組む覚悟ができれば良いですが、自信が無ければ安易に手を出さないことも選択肢の一つだと思います。
モール内SEO
こちらはGoogleのSEO対策とは異なる概念で、楽天市場やamazonといったECモール内において、検索順位の上位を狙うという施策です。キーワードを中心に、レビューや配送条件などを改善していくことで、検索順位を上昇させる効果が期待できます。
近年はどこのECモールにおいても、商品名に入れるキーワードの重要性が高くなっていますので、まずはここだけでもしっかり取り組むよう心がけましょう。とはいえ販売実績が何より大切だったりするので、小手先の調整だけでは限界があるのも事実です。
時代はSEOからAEOに?
AEOは「Answer Engine Optimization」の略で、直訳すると「回答エンジン最適化」となります。このAEOという概念が、将来的にSEOに取って代わるという可能性が囁かれています。
AEO誕生の背景には、AI技術の発展が大きく関係しています。このままAIが進化すれば、いずれGoogle検索も不要となり、代わりにAIの回答に役立てる情報が重要視されるのではないか、という予測が根底にあるわけです。
本当にそうなるかはわかりませんが、SEOにおいても求められるコンテンツの品質は間違いなく上がっています。ユーザーの意図に合致する情報をいかに提供するかという観点は、これからもいっそう重要になってくることでしょう。
SNSを活用する集客施策
基本的に無料で利用できるにもかかわらず、成功すれば爆発的な集客が期待できるのがSNSです。こちらも成果が出るまで時間がかかり、毎日コツコツ取り組むことが求められます。機能やアルゴリズムの変化が非常に早く、常に情報収集のアンテナを張っておくことも不可欠となります。
数あるSNSの中でも、InstagramはECサイトと相性の良いメディアです。視覚的な訴求力を活かすことで、商品の魅力を存分にアピールしたり、統一感あるブランドの世界観を表現したりできます。さらにショッピング機能により、購入場所となるECサイトへスムーズに誘導することができます。
リール動画は拡散力が高く、新規顧客との接点として活用できます。またフィード投稿やストーリーズでは、既存顧客にむけて情報発信ができ、お客様との関係構築といった点でも有用です。効果が出るまで時間がかかりますが、中小企業様がSNSを始めるのであれば、まずはInstagramを試してみるのがおすすめです。
Tiktok
ショート動画に特化したSNSであるTikTokは、若年層を中心に大きな集客力のあるSNSです。フォロワーが少なくても拡散しやすいのも特徴で、認知を獲得することに効果的なメディアと言えます。若者向けの商材を販売するECサイトと相性が良いですが、近年は年齢が上の世代にも浸透してきています。
Tiktokは基本的に動画投稿となるため、運営のためのリソースは大きくなりがちです。撮影だけでなく編集も手間がかかるため、腰を据えて取り組む覚悟が必要となります。ただInstagramのリールや、Youtubeのショート動画にも使い回しできるため、うまく運用すれば効率が良くなる可能性もあります。
X(旧Twitter)
情報の拡散力とリアルタイム性を特徴とするXは、ECサイトの認知拡大に適したSNSです。イーロン・マスクさんによる買収により多くの変革が起こり、Twitterという名前自体も変わってしまいましたが、その拡散力は未だ健在です。
Xはもはや140文字にとどまらず長文もOK、画像や動画も投稿できるメディアとなり、他のSNSよりもいっそう「売り込み」が好まれない印象を受けます。そして昔から罵詈雑言が当然のように飛び交い、炎上リスクも大きいSNSであるため、投稿内容には最新の注意を払いましょう。
Youtube
長尺動画ならではの訴求により、他ではできない集客が期待できるSNSです。写真と文章だけではわかりづらい商材も、長い動画なら商品の魅力を存分に伝えることができます。拡散も期待できなくはないですが、自社のファンになってもらったお客様とのコミュニティ作りにも適しています。
動画の撮影や編集は、専門的なノウハウに加えて多くの時間が必要となるため、YouTubeを運用する競合が比較的少ないというメリットもあります。一方で同様の理由により、他のSNSよりもハードルが高いというのも事実。とりあえずやってみる姿勢も大切ですが、成功の見込みとリターンがどれだけあるか、慎重に見極めてから始めることが重要です。
「オワコン」と認識されている方も多いFacebookですが、実はまだまだ現役のSNSです。年齢層の高い方を中心に、仕事用のコミュニケーション手段と割り切っているユーザーが多いため、ビジネス関連商材の認知には抜群の相性を発揮します。
Instagramと同様にMeta社の運営であるため、Meta広告では主要な配信先の一つとして選択できます。逆にInstagramだと、ビジネス系ジャンルはウケが悪い傾向にあるので、Facebookとうまく使い分けるというのも一つの手段です。
リピーター獲得のための集客施策
集客施策は新規顧客だけでなく、リピーター顧客へのアクションも必要です。新規顧客を獲得するよりも、既存顧客にリピート購入を促した方が、経営面でははるかに効率的と言われています。リピーター施策の選択肢は多くないため、一つの施策をきっちりとやり切るというスタンスで臨みましょう。
LINE公式アカウント
LINEの開封率は、メールよりも圧倒的に高いと言われています。また総務省によると、LINEは日本人の95%が使用しているという調査結果が出ており、驚異的な普及率を誇っていることがわかります。こういった点から、近年はLINEを集客に利用しようとする動きが盛んになっています。
そこで企業公式の「LINE公式アカウント」があると、お客様への情報発信やコミュニケーションに絶大な威力を発揮します。最初は無料で開設できるのも嬉しいポイントなので、どんな商材を扱っている事業者様も、ひとまず作っておいて損はないと思います。
メルマガ
ECサイトの販促と言えば、一昔前まではメールマガジンが定番でした。しかし消費者があまりメールを見ないようになり、上述のLINEなども台頭してきたことから、最近はメルマガを運用していないという事業者様もおられるようです。
意外に思われるかもしれませんが、メルマガはまだまだ有用な集客手段です。お客様に一度購入していただいたとしても、その後のコミュニケーション手段は限られてしまう中で、メルマガが貴重なツールであることに変わりありません。
実際に中小企業様の支援に伺って、メールリストがほとんど活用されていないことが発覚すると、必ず配信してみることを我々はお勧めしています。定期的に配信を続けることで、メルマガを楽しみにしてくれるお客様が出てくる場合もあります。
ステップメール
メルマガのデメリットとして、書くのに多くの労力が発生するという点があります。
そこでメール作成業務を効率化しつつ、お客様のリピート購入を効果的に促せるのがステップメールです。具体的なやり方としては、お客様が購入された後のステージに応じて、段階的に適切な定型メールを送っていくという内容になります。
例えば購入1週間後にレビューのお願いメール、1か月後には関連商品の案内メール、使い切る頃に再注文の提案メール…といった具合です。システムで一度設定してしまえば、これらのメール送信フローを自動化することができます。長期間未購入の顧客に特別なクーポンを送るよう設定すれば、自動で休眠顧客の掘り起こしが可能となります。
オフライン施策
オンラインとオフラインを区別せずに、事業全体の戦略を統合して考えようとする概念をOMOと呼んでいます。コロナ禍を経て、OMOには近年大きな注目が集まっており、ECにオフライン施策を取り入れる動きが加速しています。実店舗のある中小企業なら、OMOへの取り組みはとりわけ重視すべきでしょう。
DM
SNSのDMではなく、紙の郵送物を顧客の自宅に送るという施策です。
古典的なアプローチではありますが、近年、DMの有効性が改めて見直されており、大手ECモールの裏メニューにもDM広告があったりします。ネット上の膨大な情報に埋もれず、実体として残る郵送物は、現代の消費者にとって存在感があるようです。
意外なことに、DMは若年層への効果が高いことがわかっています。成人を迎えたり、一人暮らしを始めたばかりの若者にとって、自分の名前宛てに届くDMは新鮮なものに映るそうです。またどうしてもデジタルに慣れないという年配の方の中には、几帳面に郵送物を見ている人も多いようです。
ショップカード
こちらも古典的ですが、一定の効果が期待できる施策です。リアルの場で渡されたショップカードが、後になって店舗を思い出すきっかけとなり、ECサイトでの売上につながることが期待できます。
ショップカードにはQRコードを印刷することで、ECサイトに誘導しやすくなる効果がある他、例えば限定クーポンをプレゼントするといった工夫もできます。
カードのデザインには、ロゴやテーマカラー、ブランドイメージを考慮し、印象に残りやすいものにするとよいでしょう。お店のレジ横等に置くだけで手軽に始められますし、実店舗が無い場合でも、後述するポップアップストア等で配布するという手があります。
ポップアップストア
ショッピングモールや駅といった人が集まる場所に、期間限定の実店舗を出店するという施策です。
ポップストアが認知のきっかけとなることで、ECサイトへの集客促進が期待できます。また期間限定という要素が希少性を生み出すため、消費者から多くの関心を集めることも期待できます。「今月限定!北海道物産展」といったブースを駅などで見かけると、思わず覗きたくなっちゃいますよね。
実店舗を持っていない中小企業にとって、商品を直接手にとって体験してもらえるのは貴重な機会となります。またECという販売方法の大きな欠点として、お客様と顔を合わせて話すことができないという点がありますが、ポップアップストアはその部分を補完できるという側面もあります。
転換率向上でECの売上を改善する施策
転換率はCVR(コンバージョン率)とも呼ばれ、ECサイトに来てくれたお客様が「買ってくれる確率」を意味します。アクセスが大量に集まったとしても、誰も買ってくれなかったら意味がありません。ここではEC事業で極めて重要な、転換率向上の基本的な施策について幅広く解説します。
商品ページの改善
ECではお客様が商品を手にとって確認できないため、画面上で商品の魅力を伝えることが非常に重要です。そこで大きな役割を果たすのが商品ページであり、そのクオリティが転換率に直結することとなります。
定期的な見直し
支援現場での経験上、意外なほど見落とされているのが「ページを常に改善すること」です。大前提として、商品ページは一度作って終わりではなく、定期的に見直していかなくてはなりません。これができているかどうかで、最終的に転換率が大きく変わってくる場合もあります。
改善のヒントを得るための手軽な方法として、競合のページを自社と比較することが挙げられます。我々コンサルタントも頻繁にやっている手法であり、「競合にあって自社に無いもの」を探すよう心がけると、新しい改善点が見えてきやすいと思います。
受賞歴やランキングの実績
こちらも意外とよくある話なのですが、せっかくコンクールなどの受賞歴があるのに、その事実を商品ページで紹介できていないケースがあります。大手ECモールの売れ筋ランキングも同様であり、もしランクインした実績があるなら、胸を張って紹介すべきです。
売る側にとって「たいしたことない」と考えていることも、消費者の目には立派な実績として映る可能性もあり、小さなことでもしっかり訴求することが転換率の向上に寄与します。
一方で本当にたいしたことがなく、しかもそれが消費者にバレているような場合は、大げさにアピールすると欺瞞的になり信頼を失いかねません。こういった部分は、商品ジャンルや消費者心理をよく理解した見極めが重要なところでしょう。
写真と動画の追加
WEBページは「読まないメディア」と言われたりもしますが、商品ページの文章をあまり読まずに、画像の雰囲気で理解している方も多いようです。
自社の商品ページを客観的に見てみると、文章ばかりになってしまっていないでしょうか。お客様がきっちり文章を読む方であったとしても、視覚で理解してもらえるという点で画像の役割は大きいので、追加を検討してみる価値はあるでしょう。さらに動画の訴求力は強力で、転換率向上に寄与する場面も多いようです。
なお無料のASPカートをはじめ、商品説明文のスペースが充実していない一部システムでは、カート横にある画像を代替として利用することになります。枚数にも制限があるため、可能な限りの訴求を詰め込みたいところですが、やはり文章だらけにならないよう注意しましょう。
信頼感の向上
すごく魅力的な商品が売られていても、見るからに怪しいサイトだったとしたら…そもそも購入しようとは思いませんよね。店舗として一定の信頼感があることは、ECサイトをまともに運営するための大前提であり、転換率にも大きく影響してきます。
会社概要
お客様にファンになってもらうためにも、店舗の紹介ページはぜひ充実させましょう。
ECサイトで後悔している会社概要のページに、十分な情報は掲載されているでしょうか。ネット上での詐欺のニュースがこれだけ報道されている中、よく知らないECサイトで初めて購入することに対して、多くの消費者は警戒心を持っているはずです。
特に自社ECサイトの場合は、可能な限り連絡先等もわかりやすく掲載し、きちんとした店舗であることをアピールしましょう。実店舗があるなら、住所や外観を載せるのも良い試みです。また大手ECモールであっても、いい加減なお店だと思われないためのアピールが大切なことに変わりありません。
店舗の紹介ページ
我々は店舗そのものを紹介するページを、会社概要と別に作ることをおすすめしています。
お客様の中には、どこの店舗で商品を買ったかは覚えておらず、「ネットで買った」という認識だけしかない方もいます。この傾向はECモールで特に顕著であり、商品だけでなく店舗という面でも、できるだけのアピールはしておくべきです。
もし御社に長い歴史があったり、地元の名店として愛されているなら、店舗紹介ページで存分にアピールしましょう。そうでなかったとしても、商品に対する愛情やこだわり、お客様に対する考え方などを記載することで、ページを見た方に強い印象を与え、お気に入りのネットショップとして認知してくれるかもしれません。
問い合わせ対応について
お客様からの問い合わせ対応は、ECでできる数少ない「接客」です。
商品を買うか迷っていても、問い合わせまでするユーザーは一部しかいないと言われています。せっかく問い合わせをしてくれたのに、対応が遅かったり不適切であったりすると、当然ながらお客様は離れてしまいます。メールや電話だけでなく、SNSやチャットボットなども使って、より問い合わせしやすい環境を整えることも大切です。
問い合わせの対応が良い・悪いという話は、レビューに記載されることも多い要素で、店舗としての信頼感に大きな影響を与えています。日々の業務で忙しいかは思いますが、問い合わせへの返答スピードを見直したり、より丁寧な対応に改善できないかを検討してみましょう。
ユーザビリティの見直し
現在のECサイトは、お客様にとって使いやすいものとなっているでしょうか。もしかしたら現在のユーザビリティ(使いやすさ)が低いことで、せっかく来てもらったお客様を逃がしてしまっているかもしれません。
デザイン
お客様が来店してから購入に至るまで、様々な段階で影響を与えるのがサイトデザインです。ここでいう改善の対象となるデザインとは、オシャレとかカッコイイというのを目指したデザインではありません。あくまでユーザーの目線に立った、「利便性」という観点で考えるデザインのことです。
お客様にとって使いづらい、もしくはわかりづらいといった部分がある場合、その時点で購入するのをやめてしまい、転換率に悪影響を与えている可能性があります。そこで客観的な視点に立ち、改善できるところがないか、一度じっくりと考えてみるとよいでしょう。
ただどこがダメなのかって、運営している自分では意外と気づけなかったりするものなので、第三者から率直なフィードバックをもらうというのも効果的だと思います。
送料やリードタイムの明示
「送料がいくらかかるのか」と「今頼んだらいつ届くのか」という点は、あらゆるECサイトでお客様が気にしているポイントです。そのため送料とリードタイムの案内に関しては、ページ内でなるべく目立たせることが望ましいです。この案内がわかりづらいことで、お客様が離脱している可能性はないか考えてみましょう。
とはいえ送料とリードタイムは、重さやお届け地域といった要素で変動するという性質から、簡単に表示するのが難しい要素でもあります。アイコンや表をうまく使ったり、配送条件をシンプルに変更するのも有効な改善策です。
注意点として、配送条件の変更はオペレーション全体に影響することが多いため、コロコロ変更すると社内の混乱を招きます。そのため実際の支援現場では、多方面を考慮して慎重に検討することをお勧めしています。
カテゴリナビゲーションの改善
商品カテゴリのわかりやすさは重要です。特に大量の商品を扱っている店舗の場合、カテゴリのナビゲーションが機能していない状態だと、お客様がうまく回遊してくれません。
カテゴリ分けについては、お客様がどういった目的で商品を探しているかという「ニーズ」を基準に分類してみると良いです。現在のカテゴリ分けが最適であるかどうか、この機会に改めて見直してみるのもよいでしょう。
また専門用語やわかりづらい表現を使っており、一部のお客様しか認識できないようなカテゴリ表示は好ましくありません。カテゴリナビゲーションに使われている言葉が、多くのユーザーにとって直感的に理解できるものであるかも検討してみてください。
レビュー
ECにおいてレビューは重要な役割を果たしますが、レビューを獲得するための施策というのは限られているのが実情です。お客様に良いレビューを書いてもらうため、できることを着実に抑えておきましょう。
レビューを書いたらプレゼント企画
よくあるレビュー特典として、書いてくれたお客様に「次回使えるクーポン」をプレゼントするというものがあります。クーポンなら比較的簡単に準備できますし、次回のリピートにもつながる一石二鳥の施策なので、まだやっていなければぜひ検討してみてください。
クーポンよりコストはかかりますが、おまけ商品や保証サービスをつけるという方法もあります。特に販売開始したばかりの新商品は、豪華な特典をつけることによって、初動から多くのレビューを獲得するという作戦が有効です。
なおECモールの場合は、レビューを記載する前に特典を付与することが禁止されている場合があるので注意しましょう。
同梱物
お届けするダンボールの中に、チラシ等の同梱物を入れてレビューを促すという施策です。
メルマガを一切見ないというお客様でも、同梱物なら読んでくれるという場合もあります。内容は店舗紹介や情報発信などが一般的ですが、月刊誌のように定期的に内容を変えることで、常連のお客様が楽しみにしてくれるようになったりもします。
同梱物と一緒に、サプライズのプレゼントをつけるという施策も有効です。タダでもらえるなら基本的には悪い気がしないはずですし、お店の好印象にもつながる効果が期待できます。
商品自体の改善
大前提となる話ですが、商品自体が良いものでなければ、そもそも良いレビューがつくはずがありません。
また素晴らしい商品であったとしても、競合がさらに安くて高品質なものを売っているなら、相対的な評価としては他社より劣ることになってしまいます。競合も進化していきますので、商品自体の改善は常に考えていくべきところです。
レビューはお客様からの貴重なご意見でもあります。商品を改善する上で、レビューの中にヒントがあったという事例は、実際の店舗運営や支援現場において何度も経験してきました。商品改善に煮詰まってしまったら、もう一度レビューを見直してみるのが一番の近道かもしれません。
オファー
なんだかんだ言って、「お得」の威力は抜群です。お客様にとってお得になる条件づけのことを「オファー」と呼び、値引き・ポイント・クーポンなどがその代表的な例ですが、これらをうまく使いこなすことで強力な効果が得られます。
クーポン
一口にクーポンと言っても、意外と使い方の幅が広いのがクーポン施策。
値引きを避ける方針をとっている事業者様でも、クーポンであればブランド毀損への影響が小さいということで、売上の山を作る施策として貴重な選択肢となっています。
「全品○%OFF」といったシンプルな訴求だけでなく、例えば「2個買うと○円OFF」「1万円以上の購入で○%OFF」といった具合に、条件づけによっては購買行動を変化させることができます。システムによっては新規顧客だけが使える、もしくはリピーター限定で使える、といった設定ができる場合や、特別なお客様だけが使える限定クーポンも発行できたりします。
ポイント
日本人はポイントが大好きです。特に楽天市場をはじめとしたECモールでは、ポイントの倍づけが強力なオファーになります。
消費者としても1ポイント=1円とわかっているはずなのに、なぜかポイントには本来の価値以上の魅力を感じてしまう場合があるようです。さらに自社ECサイトにおいては、ポイントの存在が顧客の囲い込みという観点でも機能します。売上改善のため、ポイントによる訴求をもう一度見直してみる価値はあると思います。
ちなみに近年はamazonでもポイントがつくようになりましたが、これは日本のamazonだけに導入されているもので、他の国のamazonではポイント制度自体が存在しません。ライバルの楽天市場への対抗策とはいえ、あのamazonが「日本市場ではどうしてもポイントが必要」と判断したわけです。
楽天市場とamazonの比較については、こちらの記事も参考にしてみてください。
オマケ
商品にオマケをつけるという一見単純な施策ですが、このオマケも意外と奥が深かったりします。
ポイント、クーポン、その他の値引き施策は、転換率を高める強力な効果があるとはいえ、オファーの分だけ利益が減ることになります。一方でオマケ施策の場合は、オマケとしてつける商品の原価が販促コストになるわけです。
もしオマケの原価が100円でも、お客様にとって1000円くらいの価値に見えるオマケだとしたら、実際の価値よりもかなり魅力的なわけです。そういった理由により、オマケの商品を魅力的に見せることができれば、他の施策よりも抜群に高い費用対効果が見込めるかもしれません。
客単価向上でECの売上を改善する施策
客単価は一回あたりの注文金額を表す指標です。アクセス数や転換率と比べて、改善のための手法が限られる傾向にあるため、できることをしっかりとやり切るようにしましょう。
クロスセル
一緒に買ってもらう商品を増やすための施策は、クロスセルと呼ばれています。町中のスーパーやコンビニでも、来店客の「ついで買い」を促すために様々な工夫がされているのに気づくと思いますが、ECでは同じことを画面の中で取り組んでいくことになります。
バナー
ECサイトを開くと、たいていの場合まず目につくのはバナーですよね。しかしながら目立つバナーであっても、お客様は意外なほどクリックしてくれないものなんです。
バナーの商品を一緒に買ってもらうため、効果的に配置されているか、表示されているページが適切かといった点について、ぜひこの機会に見直してみましょう。関連商品であったり、何らかの共通点のあるものが一緒に購入されやすいので、バナーを配置する上でもニーズの考慮は重要となります。
バナーの数があまりに多すぎてゴチャゴチャしていると、お客様によっては一切クリックしなくなってしまう場合もあります。敢えて品揃え豊富なイメージを作るというのも戦略の一つなのですが、基本的には一定数に抑えて、ページごとにメリハリをつけるよう心がけましょう。
レコメンド機能
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」といったタイトルでついで買いを促すコーナーは、ECサイトでよく見かける定番機能です。同様に「売れ筋ランキング」「閲覧履歴からおすすめ」なども、自動で表示する仕組みが標準機能となっているシステムも多いです。
このようなレコメンド機能は、ECモールでは基本的にカスタマイズできませんが、自社ECサイトであれば工夫できる余地があります。そもそもシステムによっては、どのような条件で表示するかという点であまり融通が効かず、商品の選出に違和感を覚える場合があるかもしれません。
そこでレコメンド機能だけ別のシステムを入れることにより、独自のロジックに従っておすすめ商品を表示できるようにする、というような施策も検討してみましょう。
これから自社ECサイトのオープンを検討している方は、こちらの記事を参考にしてみてください。
関連商品の案内
商品説明文の中に、関連商品についての案内やリンクを入れるという施策です。商品ページにバナーを埋め込むこともできますが、テキスト自体にリンクを貼ったり、説明文の中でより詳細に触れられるといった点では、バナーよりもさらに踏み込んだ施策と言えます。
例えばキャンプ用テントの商品ページを見ている人が、欲しかった形のアウトドアチェアを目にしたら、予定が無くても思わず一緒に買ってしまうかもしれません。そこでテントの説明の邪魔にならない程度に、商品ページ内にアウトドアチェアの比較表と簡単な解説を入れておき、ついで買いを強力にアピールするといった施策が考えられます。
アップセル
クロスセルと似た概念ですが、購入商品自体の単価向上を狙う施策をアップセルと呼びます。元々購入予定であった商品を、より高額なものへと変更を促すことで、客単価の向上を図ります。クロスセルより商材が限られるものの、アップセル施策は絶大な効果を産む可能性を秘めています。
オプション訴求
アップセルの定番として挙げられるのがオプション施策です。例えばノートパソコンの商品ページに、「プラス○円で1年間保証」といったオプションが選択できるようにするといった施策です。オプションサービスのアイデアは、お客様のニーズをよく考えることによってひらめきやすくなります。
オプションをつけるのであれば、商品ページの中でオプションの素晴らしさについても十分に訴求しましょう。ページに説明が無いものの、カート部分に突如オプションの選択肢が現れるような商品を見かけますが、魅力をアピールしないともったいないです。
ゴルディロックス効果
日本でいう松竹梅は、実は世界的に共通する概念ということをご存知でしょうか。人間は物事を挙げたり比較する時、なぜか「3」という数字が心地よいようです。そして松・竹・梅の3つのグレードがあった時、人間は真ん中の「竹」を選びやすいと言われており、この心理現象はゴルディロックス効果と呼ばれています。
この効果を利用して、商品にも松竹梅の3つのグレードを用意するわけですが、最も効果を発揮するのは「梅」から「竹」へのアップセルです。一番安いグレードである「梅」のページに、「竹」と「松」の選択肢があることを知らせることにより、「竹」にアップグレードしてもらい単価アップを狙います。
まとめ買い訴求
自社によく売れている商品があり、もし単品販売しか実施していないなら、ぜひまとめ買い訴求を検討してみましょう。
特に食品や日用品のジャンルでは、非常に有効なアップセル施策です。単品よりまとめ買いした方が安くなる価格設定にしたり、送料無料の特典をつけたりすることにより、実際に客単価の大幅な向上に成功した事例もあります。
ECでは送料が発生することもあり、「一度にまとめて買った方がお得」という訴求をしやすい面があります。さらに飲料や洗剤などは、「重い荷物も玄関までお届け」といった訴求により、近所で買って苦労するというお悩み解決もアピールできます。
その他の単価向上施策
セット販売
これまで見てきたような関連商品訴求について、クロスセルやオプションで提案するのではなく、セット商品としてまとめて販売してしまおうという施策です。
お客様のニーズに合わせたセット商品が実現すれば、売上に大きなインパクトを与えられるかもしれません。客単価向上という観点にとどまらず、セット商品が新たな売上の柱に成長するという可能性も秘めています。
セット商品を開発する際の方向性としては、基本的には関連商品で固めた方が望ましいです。運用経験上でも、関連性の低い商品を寄せ集めたような内容だと、ニーズが分散するため購入してもらいづらい傾向にあります。どんなテーマのセットなのかが一見してわかるように、コンセプトも明確に提示した方がよいでしょう。
特典ラインの設置
1注文あたりの購入金額が一定以上の場合、特典を付与するという施策になります。例えば「1万円以上のお買い上げで送料無料」「今なら1万円以上の購入でおまけつき」といった内容です。こういった特典をつけて提示しておくと、頑張って一定ラインまで買おうとしてくれるお客様も意外といるものです。
システム上で実現できる前提となりますが、現在カートに入っている商品の金額を自動計算し、「あと○円で送料無料」という表示をつけるとより効果的です。またクーポン施策でも、一定金額以上の購入で使える条件設定が活躍する場面は多いです。
売上改善の特効薬になるアウトソーシング
売上改善の基本的な施策について、アクセス数・転換率・客単価の3つから解説させていただきました。
改善策は他にもありますが、この記事に書いてある施策をすべて実現できれば、売上が大幅に改善する可能性もあります。ECでは小さな施策の積み重ねが重要となるので、優先度をつけてぜひ新たな取り組みにチャレンジしてください。
とはいえ売上改善の方法はわかっても、「人がいなくてやる時間が無い」という中小企業様も多いのではないでしょうか。どれだけ業務効率化を進めたとしても、雇用のハードルが大幅に上がっている中で、人手不足の解消には限界がありますよね。
店舗運営のリソースを確保するためには、アウトソーシングの活用が不可欠となってきています。
幸いなことにECの場合、運用代行や作業代行を提供する事業者が充実しており、業務を外部委託しやすい環境にあります。例えば広告やSNSの代行業者を使えば、外部リソースで自社の集客改善を進められますし、店舗運営全体を引き受けてくれる代行業者も存在します。
ただしこのようなサービスは、当然ながらコストもかかりますし、事業者によるクオリティの差が激しいのが実情です。もし信頼できる代行業者をお探しの場合は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
また事業戦略をはじめとした経営の上流工程も、コンサルタントにアウトソーシングすることが有効になっています。
エクト経営コンサルティングは、ECサイトを中心とした経営全般のサポートについて、中小企業様向けに低価格で提供しているコンサルティングオフィスです。EC業界15年の経験とノウハウを活用したアドバイスは、きっと貴社の売上を改善する特効薬になります。
売上改善をどうやって進めていくかを含め、EC運営にお困りのことがあれば、右下のボタンからお気軽に無料相談をお申し込みください。
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