楽天市場とamazon、出店するならどっち?経営目線で比較する選び方
経営&ECの二刀流コンサルタント、エクト経営コンサルティングの塩島です!
今回はECモールでネットショップを始めたいと考えている中小事業者様に向けて、私の支援経験や店舗運営経験を交えつつ、楽天市場とamazonのどちらを選ぶべきかについて考察していきます。
日本のECモールの二大巨頭として名を馳せる両者ですが、実は成果を出すためのやり方には違いがあるんです。それぞれプラットフォームとしての特徴が際立っており、販売する上で求められることが異なるため、商材特性や企業の方針などによっても相性があったりします。
ネットショップの運営も「経営」であり、ECモール選びは経営判断です。
どちらを利用するのがベストなのかは、自社の様々な状況を考慮して適切に判断しなくてはなりません。間違った選択をしてしまうと、売れるはずのものも売れないどころか、余計なコストばかりかかるような事態を招くこともあります。
そこでこの記事では、楽天市場とamazonの特徴を比較しつつ、販売面、運営面、財務面、組織面なども幅広く考慮して、経営目線による選び方も解説します。
自社がどちらのECモールを選ぶべきなのか、この記事を読んでぜひご検討ください!
目次
楽天市場とamazonの特徴を比較
日本のEC市場における圧倒的な存在感
楽天市場とamazonは、日本のECモールの中でも群を抜いた市場規模を誇っています。
楽天市場の会員ID数は1億以上と公表されており、amazonのユーザー数は3000万人とも5000万人とも言われています。流通総額については非公開な部分も多く、集計基準によって大差がつくこともありますが、両者はほぼ拮抗していると考えてよいでしょう。
Yahooショッピングと合わせて「3大モール」と呼ばれたりしますが、楽天市場・amazonとの間には圧倒的な差があるのが実情で、販売側として得られる成果にも大きな差がつきます。Qoo10やaupayマーケット、その他のマイナーなECモールも存在しますが、いずれも市場規模の面で遠く及びません。
よってECを始めるなら、楽天市場かamazonのどちらかが最有力の選択肢になります。今まで支援させていただいた事業者様も、どちらかで販売されるところがほとんどでした。
そして同じECモールのプラットフォームではありながら、両者の運営スタンスは様々な面で異なります。
消費者側としても好みが分かれるため、楽天市場派はいつも楽天市場で購入し、逆にamazon派はamazonでずっと買う、という棲み分けの根強い傾向があります。もちろんセールや用途に合わせて、両方をうまく使い分けるユーザーも存在しています。
ちなみにネットショップを始めるための選択肢は、楽天市場やamazonをはじめとしたECモールだけではありません。ECサイトの様々な作り方については、こちらの記事にまとめてあるのでぜひご覧ください。
根本的なスタンスの違い
楽天市場とamazonでは、販売者という存在の位置づけが明確に異なっています。
まず楽天市場で販売するということは、イオンモールや商店街のような人が集まる場所に、自分のお店をテナントとして「出店」するというイメージ。それに対してamazonは、膨大な量の商品が載っている通販カタログの中に、自分の商品を「出品」するといったイメージです。
どちらも大して変わらないように見えるかもしれませんが、このスタンスの違いは至るところに影響しており、販売していく上でも理解が必要となります。
そしてプラットフォームとしての運営方針も、両者で大きく異なる印象を受ける部分です。
楽天市場はイベントが頻繁に開催され、買い物のエンターテイメント性が大切にされています。同時に店舗の個性を打ち出すことができ、ある程度柔軟に販促施策を実施できる他、出店者の事情に一定の配慮が感じられます。出店審査は厳しい傾向にありますが、その分悪質な出店者がほとんど存在せず、ユーザーにとっても楽天市場での買い物は安心感があるはずです。
一方でamazonは、「地球上で最もお客様を大切にする企業」という経営理念を掲げており、買い物に対する効率性や合理性といった要素が重視されています。良くも悪くも機械的で、ECモールの中でも自動販売機のような性格がとりわけ強いです。出店審査のハードルはかなり低いため、個人から大企業に至るまで、多様な出品者が存在しています。
連携サービスと今後の成長性
楽天市場もamazonも、ECにとどまらず様々な事業を展開する巨大企業です。
70以上ものサービスを運営する楽天グループは、楽天○○という名称を至るところで場所で見かけます。とりわけ強いのは銀行やカード等の金融関連であり、ポイント等の相乗効果によって一大経済圏が確立され、もはや楽天は金融企業とまで言われるほどです。
そんな楽天グループの新事業として、多くの注目を集めているのがモバイル事業です。楽天経済圏と携帯キャリアのシナジーによる可能性は底知れず、モバイル事業単体で収益性が見込めるようになれば、楽天市場のさらなる成長が大いに期待できるでしょう。
一方のamazonは、何と言ってもamazonPrimeでの動画配信サービスが好評です。2023年の値上げでは会員数減少が心配されましたが、それ以降も堅調に推移していると言われており、付随する様々な特典も魅力的です。
またamazonは次々と物流倉庫を建設し、日本全国に独自の物流網を構築するまでになりました。宅配サービスを展開できる物流インフラを備えた企業が一部に限られていた日本において、amazonは大きな変化をもたらしたと言えます。物流面でのアドバンテージは、今後もamazonのEC事業において大きな強みとなるはずです。
楽天市場とamazonにおける販売戦略の比較
柔軟性の違い
楽天市場では一定のルールに沿って、自分のお店に販売したい商品を登録します。
商品の説明文、キャッチコピー、その他様々なオプション項目など、店舗の裁量に任されている部分が多く、商品ページでの見せ方には比較的自由があります。工夫次第で特定商品を優先的にアピールしたり、魅力やこだわりをページで語り尽くすことが可能です。
また親SKUと子SKUという概念があり、入数などをまとめて表示できるだけでなく、バリエーションやオプションの見せ方も豊富です。その分だけ設定項目とルールが多いため、登録作業に慣れるまでには時間がかかるかもしれません。
一方でamazonの場合は、あくまで「amazonが用意したカタログに掲載する」というイメージなので、登録作業自体は比較的シンプルです。
他社が既に同じ商品を出品している場合は、同じ商品ページに「相乗り」で販売するため、簡単に販売をスタートすることができます。他社で取り扱っていない商品を出品する場合は、新しいカタログの作成が必要となり、細かい仕様などを詳細に入力しての作り込みが必要です。
amazonでは商品ページのテンプレートが定型化されているため、見せ方の自由度は高くありません。もし商品の商標権を獲得していれば、「ブランド登録」をすることで訴求の幅が広がります。
集客面の違い
見落としがちなポイントとして、「ECモールでも集客のために投資が必要」という点があります。
大量の消費者が集まるECモールとはいえ、放っておいても多くのお客さんが来るとは限りません。大量の商品の中に埋もれないためには、見つけてもらうための集客施策が必要です。この点は誤解されている事業者様が多いので、集客コストの発生は認識しておきましょう。
実際の集客施策はいろいろあるものの、ECモール内に掲載する広告を活用するケースが多くなるのですが、楽天市場とamazonでは広告のメニューも大きく異なります。
楽天市場は広告の種類が豊富で、リスティング広告やバナー広告をはじめ、様々な広告を利用することができます。その中でも「RPP広告」と呼ばれるリスティング広告は、楽天市場を中心とした楽天グループ内で配信され、多くの出店者に活用されている代表的な広告です。
広告は費用対効果やアルゴリズムの変化が激しく、トレンドを意識することも重要です。最近の全体的な傾向としては、楽天市場外に露出する広告が増加しているように感じられます。こういった動きの背景には、楽天全体の新規顧客数の伸び悩みが影響しているという説もあります。
一方でamazonの広告メニューは少なく、選択肢は一部だけに限られており、条件をクリアしないと利用できない広告もあります。
そういった中でも「スポンサープロダクト広告」と呼ばれるリスティング広告は、多くの出品者にとって貴重な集客手段となっています。特に出品初期の売上を作るためにはほぼ必須となるため、広告運用には力を入れていきましょう。
販促施策の違い
楽天市場とamazonでは、有効な販促施策も異なる傾向にあります。
楽天ポイント経済圏が確立されている楽天市場には、ポイントが大好きなユーザーが集まっています。そこでポイントの付与率を上昇させることで、購買意欲を高めるアプローチが有効となります。
また細かい条件を設定したクーポン発行、店舗独自のセール企画など、オファーのつけ方も自由度が高いです。「お買い得感」の訴求力は大きく、適切に使えば強力な武器になるはずです。
他にもメールマガジン、関連購買訴求、おまけ特典など、楽天市場では多彩な販促方法が活用できます。ECモールならではの制約はありますが、販促施策の柔軟性が高く、アイデア次第でさまざまな売り方が可能なプラットフォームと言えるでしょう。
一方のamazonでは、全体的にできることが限られています。特に相乗りで出品する場合は、ほぼ価格やリードタイムといった販売条件の違いだけでしか差別化することができません。
クーポン機能やポイントプログラムも存在しますが、楽天市場と比べて制限が多く、ポイントに対するユーザーの関心もそこまで高くない印象を受けます。購入にあたっての判断基準として、ズバリ表示されている価格の比重が大きいです。
またamazonのユーザーは「どの出品者から買ったか」をほぼ意識しておらず、「amazonで買った」という感覚が強いため、出品者が顧客との関係性を構築するハードルが高いです。メールマガジンは存在せず、その他の購入者へのアプローチ手段もほとんどありません。
以上の点からamazonでは、商品そのものの魅力や価格といった要素が、販売にあたってより重要なポイントとなってきます。
楽天市場とamazonにおける運営面の比較
サポート全般について
楽天市場では出店者向けのサポートが充実しており、各店舗ごとにECCと呼ばれる担当者もつきます。
ECCは販売面での様々な相談に乗ってくれたり、最新のトレンドを教えてくれるなど、楽天市場での店舗運営において頼りになる存在です。ただ様々なECCの方とお話ししてきた経験からすると、担当者によって対応面の個人差が大きいように感じています。
またECCには広告を販売する営業担当としての側面もあるため、提案された広告を全て受け入れていると、とんでもない費用をかけることになってしまいます。最終的な判断は店舗に委ねられるため、提案内容を鵜呑みにせずきちんと検討するようにしましょう。
一方でamazonの出品者向けサポートは、充実しているとは言い難い状況です。
amazonには出店ポリシーと呼ばれる、膨大な量の規約があります。外国語を日本語に訳してそのままのような文章もあり、内容が理解しづらいことも少なくありません。
そこでテクニカルサポートと呼ばれる、公式のサポートサービスに期待したいところですが…残念ながらメールや電話で問い合わせを行っても、必要な回答がスムーズに得られることは少ないかもしれません。運営面における困りごとについても、amazonのサポートにはあまり期待しない方がよいでしょう。
こういった部分は、後述するamazon独自のリスクにつながり、出品者にとっての負担となっています。
物流サービスについて
楽天市場では「RSL」、amazonでは「FBA」という名称で、それぞれ物流代行サービスが用意されています。
どちらも宅配便の運送会社に依頼する場合と比較すると、配送料金が大幅に安くなるのが特徴です。さらに出荷スピードも早くなるため、お客様が商品を購入してくれる確率も高まります。
このように中小事業者にとって頼もしいサービスではありますが、自社から物流拠点へ発送するための運賃や、在庫保管料といった追加コストが発生する点に注意が必要です。商品の回転率を計算し、追加コストが宅配便送料の差額よりも小さい場合には、ぜひとも物流代行サービスを利用したいところです。
こういったサービスを効果的に活用し、製造元や仕入先から物流拠点に直接納品する体制を整えれば、販売プロセスをほぼ自動化できる可能性もあります。仕組みを構築するまでは大変かもしれませんが、生産性向上と固定費削減が期待できるため、経営面でのメリットも大きい部分です。
なおamazonのFBAは全国に拠点がありますが、楽天市場のRSLは拠点数で大幅に遅れをとっており、今後の拡充が期待されるところです。
楽天市場のリスクについて
楽天市場では運営のガイドラインが定められており、違反するとペナルティを受ける可能性があります。
車の免許のような点数制度になっており、違反ばかりしていると最悪の場合退店処分となります。ただ常識的な店舗運営をしていれば、点数が減るようなことはほぼありません。意図せず違反をしてしまっているような場合は、減点の前に警告してくれることも多いです。
ガイドラインの量は膨大でありながら丁寧に説明されており、これだけの規模を誇るECモールとしてはかなり親切だと思います。コールセンターも丁寧な対応をしてくれますし、どうしても解決できない困りごとには、前述のECCが何とかしてくれる場合もあります。
昔は出店者に対して強引な姿勢が目立った楽天市場ですが、最近はかなり丸くなった印象を受けます。悪質な出店者が少ないため、販売者同士でのトラブルもあまり聞きません。それどころか異なる店舗の間で、協力して売上を上げていこうという仕組みもあるほどです。
以上のような点から、楽天市場は比較的リスクが少なく、事業者にとって安心して運営できるECモールだと思います。
amazonのリスクについて
一方でamazonは、様々なリスクに対して十分な「警戒」が必要です。
あまり語られることが少ない論点なのですが、経営面に大きな影響を与える可能性があるため、出品を検討されている事業者様には必ずお話をしています。
まずは転売、偽物、知的財産権侵害などの不正出品問題です。こういった問題の対策は確かに難しいのですが、海外からの出品者も多いこともあり、amazonはもはや無法地帯に近い印象を受けます。
一応取り締まってはいるようなのですが、果たして調査が十分なのかは不明瞭です。実際には無実であるにもかかわらず、競合から商標権を侵害したと申告されてamazonからペナルティを課せられ、裁判沙汰に発展するような事例もあります。
また不当レビューも大きな問題となっています。競合となる出品者からの嫌がらせなどにより、事実と異なる低評価レビューを受けたという話は、EC業界にいるとよく耳にする事案です。当然ながら低評価レビューは印象が悪く、SEOの面でも致命的な悪影響となる可能性があります。
「嫌がらせ」と聞くと思い込みではないかと疑いたくなるところですが、競合を蹴落とそうとする悪質な出品者は一定数存在し、ターゲットになると多くの場合泣き寝入りするしかないのが現状です。このような問題について、amazon自体が十分な対応をしてくれることは期待できません。
そして数あるリスクの中でも、最も注意すべきなのがポリシー違反です。前述の膨大なガイドライン「ポリシー」に違反したと見做されると、予告無しでアカウント停止などのペナルティを受ける可能性があります。
違反内容はテンプレート文章で一方的にメール送付されてくるため、自分が何に違反したのかすらよくわからないことも多いです。たとえ一時的な過失だとしても、取り合ってもらえない場合もあります。
アカウント停止が解除できない結果、FBAに預けている在庫が廃棄された、売上を没収された…など、耳を疑うような実話もあります。そんなことが許されるのかと思うかもしれませんが、amazonに従うしかない仕組みが契約上で確立されており、不服であれば裁判で争うしかないのです。
他にも理不尽な対応や優越的地位の乱用など、amazonでの出品トラブルがあまりに多いため、経済産業省でも事例やモニタリング内容等を公開しています。またインターネット上にはamazon出品者の「生の声」が溢れていますので、ぜひ検索してみてください。
このようにamazonの運営は、常に何が起こるかわからないという不確実性が大きく、経営上でのリスクがあることを覚悟しておきましょう。
楽天市場とamazonにおけるコスト面の比較
出店コストについて
ECモールを利用するには費用が発生します。このコストは決して安くはなく、経営の上でしっかりと把握しておくべき部分です。
発生する費用には様々なものがありますが、大まかな分類として初期費用、固定費、変動費の3つに分けて考えるとよいでしょう。それぞれの概要について、楽天市場とamazonを比較しつつ紹介していきます。
また以下で記載している内容は、2024年12月時点のものとなります。各種料金体系は随時変動する可能性があるため、必ず以下公式サイトの案内を併せてご確認ください。
【公式】楽天市場の出店費用
【公式】amazonの出品費用
初期費用
楽天市場では全てのプランにおいて初期費用60,000円(税抜)が発生します。
また後述の月額利用料の半年分もしくは1年分を、出店の際に一括で支払わなくてはなりません。まとめて払うとけっこうな金額となるため、事業の初期コストとして認識しておいてもよいでしょう。
一方でamazonの場合は、初期費用の類は一切発生しません。楽天のように一括前払というルールも無いので、負担が小さいのは大きなメリットです。
固定費
ECモールに出店するには利用料が必要になります。月額で請求されるのが一般的なので、毎月の固定費として計上することとなります。
楽天市場には以下の3つのプランがあり、それぞれで利用料金が異なります。
- がんばれ!プラン…25,000円(税別)/月
- スタンダードプラン…65,000円(税別)/月
- メガショッププラン…130,000円(税別)/月
プランごとの主な違いは、登録できる商品の数や使える画像の容量、後述する各種手数料が異なる点です。商品数が多い場合はスタンダードプラン以上が望ましいですが、がんばれ!プランでも10,000点まで登録できるため、十分足りる場合も多いと思います。さらに使いたい機能に応じて、オプション料金が毎月発生するので注意しましょう。
一方でamazonに用意されたプランは、「小口出品」と「大口出品」の2つのみとなります。
このうち「大口出品」では4,900円(税別)/月の利用料金が発生しますが、「小口出品」には固定の料金が存在しません。ほとんどの事業者は「大口出品」を選ぶので、事実上4,900円(税別)/月が固定費となります。
固定費という面で比較すると、楽天市場よりもamazonの方が圧倒的に安いことがわかります。資金力が無い中小事業者であっても許容しやすい料金であり、参入ハードルはかなり低いと言えるでしょう。
以上はあくまで出店コストだけの話なので、経営上では人件費や家賃など他の固定費も考慮する必要があります。堅実路線で運営していきたいのであれば、少なくとも固定費を回収できるだけの利益を出すことが必要不可欠です。
変動費
ECモールでは月額利用料の他に、売上に比例して発生する各種手数料が定められており、変動費として認識しておくべき費用となります。
楽天市場では基本となる「システム利用料」の他、「楽天ペイ利用料」や「楽天ポイント利用料」など、手数料の中でも項目が細かく分かれています。一方でamazonは、商品カテゴリごとに料率が決められ、比較的シンプルな体系となっています。
プランや商材にもよりますが、手数料は楽天市場の方が割安となることが多いです。ただ最終的なコストがどれくらいかかるかは、その他の費用も考慮して見極める必要があります。
いずれも随時改正される可能性があるため、公式サイトで最新情報を確認しておきましょう。
【公式】楽天市場の手数料案内ページ
【公式】amazonの手数料案内ページ
こういった売上に応じて変動する手数料は、少なくとも売上の10%前後、多ければ15%以上になります。
オプションや外部システム、物流代行サービスなどを入れていくと、変動費はさらに上乗せされていきます。粗利から様々な手数料が引かれ、さらに上述の月額利用料や様々な固定費が引かれるとなると…手元にはわずかな金額しか残らないかもしれません。
できるだけ抑えたい手数料ですが、ECモールを利用する上では削減できない厄介な存在です。そのため出店を検討されている方は、固定費だけでなく変動費を考慮した損益シミュレーションを実施してください。
利益がどれくらいあって、ECモールに支払う費用がどのくらいあって、販促や運営にどれだけのコストがかかるのか、そして利益がどのくらい残るのか。これらは必ず「出店前」にシミュレーションする必要があります。
こういった準備を怠ってしまうと、売れば売るほど赤字なんてことにもなりかねません。予測から計画を立てることによって、事業が成功する可能性というのは飛躍的に高まるものです。とはいえ忙しい日々の中で、このような作業は面倒だと思いますし、「これで合っているのか不安」という場合もあると思います。
もし忙しくて時間が無い、「ちょっと自信がない」などという場合は、我々が出店後のシミュレーション作成をお手伝いさせていただくことも可能です。
ご希望であれば、ひとまず右下の無料相談ボタンからお問い合わせください。
楽天市場とamazon、自社が向いているのはどっち?
楽天市場に向いている企業
楽天市場とamazonについて、いろいろな側面から比較してきました。では結局、自社がどちらを選ぶべきなのか。今までのまとめも兼ねて、判断基準となるポイントをわかりやすくお伝えしていきます。
まず楽天市場についてですが、商品の見せ方や販促の自由度が高いという点が特徴でした。
そこで商品の魅力やこだわり、企業独自の取り組みといった部分について、お客様に詳しく説明した上で理解してもらいたいのであれば、amazonよりも楽天市場を選んだ方がよいでしょう。お買い物を通じてエンターテイメント性や楽しさを提供しつつ、柔軟な施策を試していきたい企業にとっても、楽天市場は相性の良いECモールです。
またメールマガジンやポイント、クーポンなどの販促施策をうまく活用することで、購入者との継続的なつながりを築くことが可能です。そのためお客様とのウェットなやり取りを大切にし、関係性構築を重視するのであれば、楽天市場の方を断然おすすめします。
いろいろなアプローチができる楽天市場ですが、販促施策が最初から上手くいくことは少ないものです。成果を上げるためにはたくさんのトライアンドエラーを繰り返し、成功パターンを見つけるというアプローチが重要です。
そこで組織体制としては、従業員が自由に意見を出し合えるような、フラットな社風を持っている企業が向いています。多様な選択肢がある中で、成果を出すためにどうしたらよいか考えるには、チームのメンバーが様々なアイデアを創出できる方が望ましいからです。
元々そんな社風ではなかったとしても、出店を変革のきっかけとして、チャレンジを促進する組織文化に転換するのも良いのではないでしょうか。
ただし楽天市場では初期費用がかかるだけでなく、半年分または1年分の月額料金前払いが必要となります。出店にあたってはこの費用を無理なく準備できる、一定の資金力があることが前提条件となります。
個人的な印象ではありますが、巨大なECモールゆえに融通が効かないところもあるとはいえ、楽天市場は店舗の多様性を大切にしているように見えます。あまり知られていませんが、三木谷社長は剛腕の一方で癌の治療法に莫大な投資をするなど、社会貢献意欲の強い方だったりします。
こういった点に何か感じるところがある方も、楽天市場を選ぶと良いかも知れませんね。
amazonに向いている企業
ここまで解説してきたとおり、amazonは買い物に対しての合理性が徹底的に追求された、様々な面でシステマティックなECモールです。販売面の自由度は低い一方で、何かとシンプルで時間をかけずに進められ、効率的な運営がしやすい傾向にあります。
消費者にとっては目当ての物を判別しやすく、スピーディーに買い物を完結させられるという面で、amazonの右に出るプラットフォームはありません。余計な装飾が無い商品ページは、ゴチャゴチャした画面を嫌う消費者から大きな支持を得ています。
こういった特徴から、スペックや性能がはっきりしている商品や、購入の決定までにあまり時間をかけない日用品を扱う企業は、amazonとの親和性が高いと言えるでしょう。
またamazonは定期購入サービスにも適しており、リピート需要の高い商品を取り扱う企業に適しています。楽天市場も定期購入の機能はありますが、何かと煩雑になりがちというデメリットがあり、amazonの方が運用しやすいはずです。なお「定期おトク便」には利用条件があるため、自社が満たしているか事前に確認してみてください。
出店の際にまとまった費用が請求されないことから、amazonは初期投資の資金に余裕がない企業にも向いています。出店のハードルがかなり低いため、楽天市場や自社サイトを始める前のテストマーケティングに活用できるという側面もあります。
さらに売上が14日周期のサイクルで入金されるというのは、資金繰りが万全でない企業にとっても嬉しいポイントです。ただし「引当金」というシステムがあり、売上の半分は次の周期に遅れて入金される仕組みとなっています。それでも1ヶ月経たずに売上を回収できるというのは、経営面で大きなメリットとなるでしょう。
amazonでは楽天市場のようにできる施策が少ないため、様々なアイデアで商品を訴求していくというよりは、データとルールに厳格に基づいた運営が求められます。
そのため組織づくりの観点では、トップダウンでスピーディーにPDCAを回せる企業の方が成果を上げやすいはずです。amazonのマネージャーを任せるのであれば、画一的な管理が得意な人材が向いているでしょう。仕組み化を徹底してしまえば、事業としてかなり効率的な状態を実現できるかもしれません。
最後にamazonの注意点として、前述のような独自のリスクがあることを忘れないでください。膨大なガイドラインをなるべく正確に把握し、意図せぬ違反を未然に防ぐための教育体制を整えることも大切です。
ECモール出店で後悔しないために
開店前の準備について
楽天市場とamazonに限らず、EC事業を始める上ではしっかりと事前準備をしておくことが大切です。
近年はネットショップを手軽に始められるようになり、販路拡大の選択肢が広がったのはとても良いことです。しかしハードルが低いからこそ、準備が疎かになってしまう傾向もあるように感じています。準備不足で売れないだけならまだ良いのですが、場合によってはその他の事業に悪影響を与えてしまうことすらあります。
スタートしてから後悔しないために、事前準備しておきたいことについては以下の記事にまとめてあります。よろしければぜひご覧ください。
不安であればプロの手を借りること
楽天市場とamazonを比較し、経営目線を交えながら両者の特徴を解説してきました。
大きな違いがあることはお分かりいただけたと思いますが、これだけ読めば準備万端というわけではありません。正直なところ実際の経験がないとわからない部分や、記事には書けないようなこともたくさんあります。もし出店にあたって不安なことがあれば、ECに詳しい支援者に相談するのが最も有効な手段です。
エクト経営コンサルティングでは、EC業界15年の経験を持つ中小企業診断士を中心に、ECサイトの立ち上げや改善についても無料相談を承っています。
さらに他のECコンサル会社と異なり、経営全般を視野に入れた上で最善の選択をご提案できる他、利益面や人事面といったEC以外のご相談ができるのも特徴です。一部例外的なケースを除き、基本的に経済産業省登録の中小企業診断士が対応させていただきます。
右下のボタンより、お気軽に無料相談をご利用ください。
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