ネットショップ開業の前に必見!ECで失敗しないための重要ポイント

ネットショップ開業を考えておられる事業者様、事前の準備は万全でしょうか?EC市場に進出する企業は増えていますが、その一方で撤退している企業も少なくありません。ECで成功するためには、一般的なマーケティング戦略を基礎としながらも、実店舗とは異なる独自の考え方が必要になります。なぜならECでは、お客様と共にライバルも全国に広がり、激しい競争が繰り広げられるからです…。とはいえ開業前からしっかりと準備し、正しい戦い方を学んでおけば、小規模な企業でも成功のチャンスは十分にあります。この記事では経営&ECの二刀流コンサルタントが、開業してから後悔する前に抑えておきたい、失敗しないためのチェックポイントをお話しします!

ネットショップ開業前の市場調査

ネットショップ開業前の市場調査

市場調査の重要性は、ネットショップだけに限った話ではありません。市場調査はあらゆるビジネスの様々な段階で、重要な役割を果たすプロセスです。市場調査によって得られた情報と、データに基づく適切な判断が、ビジネス成功の鍵であると言っても過言ではないでしょう。以下ではネットショップの成功のために欠かせない、市場調査で得られるメリットを解説していきます。

最適な販売戦略の決定

市場調査を行うことで、最適なマーケティング戦略を明確にすることができ、自分のネットショップの方向性を定められます。消費者の需要や市場の動向、業界のトレンドなどを把握しなければ、どのような商品やサービスを提供すべきかがわかりません。商品やサービスが決まっている場合も、どのような市場に参入すべきか、どのような消費者をターゲットにするかは、成功のための非常に重要な選択肢です。そんな意思決定に欠かせない重要なデータ収集こそ、市場調査が果たす役割なのです。

リスクの低下

新商品の投入や新たな事業展開を行う際には、多くのリスクが伴うものです。そこでしっかりと市場調査をしておけば、リスクを事前に予測して対策を立てることも可能になります。ネットショップの開業にあたっても、事前の市場調査を適切に行うことにより、リスクを最小限に抑えることができるでしょう。不必要な投資、過剰な仕入れ、誤った戦略策定…などなど、多様なリスクをできるだけ避けていくことが、ネットショップを成功させることへの何よりの近道です。

顧客理解の向上

市場調査を通じて、顧客のニーズや動機、購買行動などを詳しく知ることができます。大切なポイントは、過去ではなく「最新」の情報を調査することです。EC市場は変化のスピードが早く、日々変化しているため、古いデータが現状と乖離していることもしばしばあります。最新の情報を元にすることで、現在の顧客に合わせた商品開発やサービスの提供、マーケティング戦略の策定が可能となり、ロイヤルティを高めることにもつながります。なおネットショップの開業前はもちろん、最新の動向や変化を捉えるため、市場調査は開業後も定期的に行っていきましょう。

経営資源の最適化

多くの企業にとって、経営資源は限られた貴重なものです。市場調査を行うことにより、ネットショップに必要なリソースをどのように配分すべきか、その判断材料を得ることができます。そして限られた経営資源の無駄遣いを避け、効率的な事業運営を実現することができるのです。ネットショップにおいても、人材、資金、時間などの限られた経営資源を、どれだけ効率的に使えるかは非常に重要なポイント。具体的な活用方法については後述します。

ネットショップ開業前の戦略策定

ネットショップ開業前の戦略策定

ネットショップを成功させるためには、開業前から販売戦略を立てておくことが必要不可欠です。EC市場でも、マーケティングの基本的な考え方はオフラインと一緒。ただし実店舗と共通する部分、異なる部分を混同せず、しっかりと切り分けて考えることがポイントです。以下では一般的なマーケティング戦略の策定方法に加えて、ネットショップならではの注意点などを交えて解説します。

市場の細分化と選定

市場調査をしっかりと行えば、市場全体の大まかな理解はできているはず。次のステップとして、その市場をさらに細かく分解できないか考えてみてください。現代において、全く開拓されていない市場というのは少なく、たいていの市場には既に強力なライバルがいるはず。資金面や人員面で大きな差があるなら、まともに戦っても勝ち目が無いかもしれません。そこで細分化した小さな市場から、自社の得意分野を選んで経営資源を集中させることで、勝算が生まれないかを考えてみるのです。具体例として、アクセサリー市場を挙げてみましょう。一口にアクセサリーと言っても、年代別、用途別、価格帯別…といった要素で、いろいろなジャンル(=市場)に細分化できます。もし自社が「指輪の加工技術」を得意としているなら、その強みを最も活かせる「高級指輪市場」に全力を注ぐことで、活路を見出だせないか検討してみるのです。こうしたターゲット市場の選定こそが、ネットショップ開業後の運命の分かれ道、と言っても過言ではありません。

市場ニーズの理解

ターゲット市場を決定したら、続けてその市場の顧客ニーズを深く理解することが大切です。顧客が何を求めているのか、どのような問題を解決したいと考えているのか理解しなければ、最適な戦略を策定することができません。市場調査で得た情報を深掘りしたり、時にはアンケートや顧客インタビューなどの手段を用いて、市場のニーズを徹底的に理解しましょう。EC特有の方法として、他店のレビューは非常に参考になります。またECモールで毎日更新されている「ランキング」は、市場でどのような商品のニーズが高いのか、ヒントが得られるためぜひチェックしてみてください。

競合の分析

市場の分析を進めていくと、並行して競合の研究も進めていきましょう。そしてターゲット市場を決定すると、直接的なライバルの姿が浮かび上がってきます。ネットショップの場合、消費者は商品をよく比較してから購入するので、比較対象となる競合の分析は非常に重要です。ライバルが提供している商品の品質、価格設定、マーケティング戦略などは、開業前から詳細に調べておくべきです。競合についてよく分析しておけば、勝ち目の薄い戦いを挑むリスクは無くなります。そして市場における自社の立ち位置を明確にして、ECで成功する可能性を高めることができるのです。

差別化戦略

実店舗における差別化要因としては、立地、営業時間、品揃え、価格などが挙げられます。しかしネットショップにおいて、立地や営業時間といった要素は、実店舗ほどには大きく影響しません。逆に品揃えや価格といった要素は、もちろん業界や戦略にもよりますが、売上や集客に直結し、実店舗よりもシビアな影響が出る部分となります。さらにページデザイン、商品説明文、電話・メールでの顧客対応など、EC独自の差別化要素が発生します。実店舗との違いを理解し、どのような点で競合と差別化していくか、店舗の方針を決めてブレないことが大切です。

ネットショップ開業前のチームづくり

ネットショップ開業前のチームづくり

ネットショップで成功するポイントの1つは「人」です。これもECに限った話ではありませんが、人員リソースをどれだけ有効に活用できるかは非常に重要な要素です。人材を集め、見極め、そして育てることは、あらゆる事業の成長において不可欠と言えるでしょう。ECの立ち上げ期は、スタッフの方が他の業務と兼務されるケースも多いので、負担のバランスにも気を配る必要がありますね。

チームの編成

マーケティング、商品開発、顧客対応、在庫管理、受注処理、出荷作業…。おそらく皆様が思っている以上に、ECで必要になる業務は多岐にわたり、それぞれに専門性が要求されます。開店当初はギリギリ一人でこなせても、少し軌道に乗ってくるだけで、他のサポートが無くては回らなくなってくることでしょう。もしある程度の売上を最初から見込んでいるなら、開業前からEC部門のチームを編成しておくことをおすすめします。この組織づくりもまた、ネットショップの長期的な成功に直結する要素と言って過言ではありません。

担当の割り振り

とはいえ万全のチーム体制を整え、いざネットショップのスタートを切るというのは、中小事業者様にとってなかなか難しいことかと思います。十分なリソースが用意できなかったり、主力事業と並行しながらの運営になる場合も多く、EC専属のチームを編成できる事業者様は、決して多くないのが実情でしょう。そのような場合は、開業前から業務や人員体制を社内で共有し、担当者の役割を明確にしておくことが重要。そして該当するスタッフには、他の業務とのバランスを考慮しつつ、理解を得るためのコミュニケーションを図りましょう。

社内での協力体制構築

EC事業は良くも悪くも、組織内での新風となることが多いです。そのため既存事業部門とのハレーションや、セクショナリズムといったマイナス要素が発生しがち。事前の対策として、EC部門への理解や位置づけを社内全体に浸透させる、インターナルマーケティングと呼ばれる手法を実践していきましょう。ECは独立した販売部門のように思われがちですが、他部署との密接な関わりを持たなくては、その真価を発揮することができません。たとえ人員体制が十分でなくても、部門間でスムーズな協力関係が構築できるような仕組みは、ネットショップの開業前から最低限考えておくべきです。

EC経験者の活用

これまでのお話の通り、ネットショップでの販売戦略やノウハウは、実店舗と様々な面で異なります。立ち上げ期において、EC運営経験がある人材や、デジタルマーケティングに強い人材がいるのであれば、彼らは非常に頼もしい存在となるはずです。ネットショップを成功させるため、その知見を存分に発揮してもらうべく、彼らの言葉に耳を傾けましょう。経営者やマネージャーが、EC事業に十分な時間を割けないような状況であれば、責任者として現場の指揮を任せることも選択肢の一つです。

EC経験者がいない場合の運営

EC分野の経験者がいないからと言って、ネットショップの開業をあきらめる必要はありません。自分たちの手でノウハウを溜めながら、少しずつ店舗を成長させていくこともできます。売上が小規模なうちは、受注や出荷といったバックヤード業務も少ないので、既存のリソースだけでネットショップを運営していくことも十分可能であると思います。ただし、EC運営は決して簡単ではありません。成果が出るまで時間がかかるという覚悟と、努力と勉強を常に怠らない姿勢が必要不可欠となります。

人材育成

従業員に元からECのスキルがあればベストですが、現実的にはそうでない事も多いはず。そこで大切 になるのは、従業員の人材育成と貢献意欲を維持する仕組みづくりです。教育とキャリアパスの提供を通じて、組織が従業員のスキルアップをサポートし、長期的な貢献意欲を持ち続けられるようにしましょう。いくら優秀な人材を獲得しても、次々に辞めていってしまうような状態であれば、長期的に店舗を成長させることはできません。それどころか最悪の場合、組織の崩壊につながってしまいます。

ECで重宝するスキル

例えば以下のようなスキルを持っている人材は、EC運営において強力な戦力となるでしょう。ECを運営する企業であれば、いずれも社内に一人は欲しいところです。しかし今の時代、アウトソーシングを活用すれば、絶対に必要というわけではありませんのでご安心ください。

コーディング

コンピューターに理解させる言葉をコードと呼び、その言葉を記述することをコーディングと呼びます。ネットショップの構築方法においては、特にHTMLやCSSといった言語は、頻繁に使われることが多くなります。他にもJavaScriptやPHPなどはよく利用されており、記述ができるコーダーは重宝されます。(※HTMLの記述は、正確にはマークアップと呼ばれます)

ページデザイン

ネットショップのデザインは、商品の魅力を最大限に表現するために非常に重要な要素です。ECでは同じ商品でも、デザインによる見せ方が異なるだけで、売れ行きに差がつくことは珍しくありません。多くの場合、デザイナーはコーディングもできることが多いです。加えてWEBマーケティングの理論を理解している人材は、ECで非常に頼もしい存在となるでしょう。

ライティング

商品説明の文章や、コンテンツの文章を作成できるスキル。デザインと同様に、文章によって売れ行きが異なる場合も多く、お客さんの心を動かす文章が書ける能力は大切です。生成AIの登場により、今後はECの文章作成も自動化が進むことでしょう。しかし購買意欲に直結する、ユニークでエモーショナルな文章制作は、まだまだ時間がかかりそうです。

ネットショップ開業前の数値計画

ネットショップ開業前の数値計画

いつも行列のお店が突然閉店。あんなに繁盛してたのに、実は全然利益が出ていなかった…なんて話、聞いたことありますよね。いくら売上を獲得していても、利益をしっかり出さなければ、事業を長期的に継続することは難しいのです。その一方で、時には利益度外視の施策を打たなければ、事業を成長させられないというタイミングもあります。この辺のバランス感を見極めるのが、経営の非常に難しいところだと思います。そこできちんとした数値計画があれば、見通しを立てて数字のコントロールがしやすくなり、失敗の可能性を低下させることができます。ネットショップにおいても、売上や利益の現実的な計画は必要不可欠。以下ではEC事業における数値計画と、利益やコストの考え方についてお話しします。

数値計画は月次で管理を

商品をいくらで売って、どれだけ費用がかかって、どれだけ利益が出るか。売上や利益の数値計画は、ネットショップの開業前に必ず作成しておきましょう。この時のポイントは、必ず一ヶ月単位の月次で作ること。そして開業後は、数値計画と実績がどのようにズレたか、検証にかける時間を毎月確保し、定期的なチェックを忘れないでください。例えば変動費はどれくらいの割合で、固定費はどれくらいかかっているか。利益率に大きな変化はないか。入金や支払いのスケジュールは問題ないか。このような数値計画のチェック、つまり管理会計を継続していくことが、ECで失敗しないための非常に重要なポイントとなります。なお一般的な取引と違って、ECではキャッシュフローが変則的なことも多いので、資金繰りにも十分に注意してくださいね。

集客コストを捻出できるか

ネットショップを開店したら、日本中からお客さんを集められる!というのがECのメリットですが、多くの場合そんな簡単にはいきません。悲しい事実ですが、立ち上げ直後のネットショップは、お客さんから認識すらされていない状態がほとんど。自分からお客さんを集めるアクションを起こし、何らかの形で集客ができなければ、ECでは失敗する可能性が高いでしょう。そしてたいていの場合、集客には大きなコストがかかります。コストは広告費の場合もあれば、発生する人員リソースの場合もあります。日々の売上から経費を引いて、残った利益から集客コストを捻出していくことが、ほとんどのネットショップにおける前提条件です。もし数値計画を作った上で、集客コストをかけるための十分な利益が出ないなら…残念ながらECへの参入自体、もう一度考え直した方がいいかもしれません。

広告費は無理なく臨機応変に

ECを含むWEBマーケティングの世界で、広告は強力な武器となります。そして上述の通り、時には利益度外視の広告や販促が必要です。しかしよく考えずにガンガン投資するような行為は、あまりにも危険すぎるので絶対にやめましょう。逆に広告費をケチりすぎると、いつまで経ってもお客さんが来ないという、悲しいネットショップになってしまうかも…。ちなみに「広告費は売上の◯%以内」というルール設定をよく聞きますが、ECにおいてこの考え方をしていると、大きな機会損失を招きがちです。自店舗のに適した広告を選び、柔軟かつ適切に投資金額を調整することが、ネットショップ成功の大きな近道となるでしょう。

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