MENU

中小企業の財務・利益の課題と解決策

中小企業の財務・利益の課題は、打ち手を選ぶ前に「どこで利益が消え、どこで現金が消えているか」を月次で掴むところから始まります。利益率の改善、資金繰りの立て直し、融資や制度の活用は、それぞれ有効な場面が違います。これらを把握しないまま調達を急ぐと、ただ借入だけが増える状況になってしまいます。

財務・利益に関するソリューション一覧

1

「利益」と「現金」は、同じ動きをしない

財務の相談は、ほとんどが「お金が足りない」という一言から始まります。しかしその奥にある原因は、大きく3つに分かれます。稼ぐ力の問題(利益率)回す力の問題(資金繰り)備える力の問題(調達と管理)です。

見落とされやすいのは、利益と現金が同じ動きをしないことです。売上を計上した月と入金される月はずれますし、在庫や設備投資で出ていった現金は利益計算にそのまま現れません。借入の返済も費用ではないため、損益計算書だけを見ていると「黒字なのに手元が苦しい」という状態の説明がつかなくなります。

決算書は過去の記録であり、資金繰り表は将来の予定です。どちらか一方だけでは、打つべき手は決まりません。

財務・利益の主な課題

利益率改善・コスト削減 — 「どの商品が儲かっているか」を、社長は言えるか

売上が伸びているのに利益が残らない会社では、多くの場合、商品別・サービス別の採算が見えていません。全体の粗利しか把握していないと、稼ぎ頭の利益で不採算品の赤字を埋めている状態に気づけず、売れば売るほど苦しくなる構造が続きます。原材料費や人件費が上がる局面では、この見えなさが直接効いてきます。値上げを検討する際も、「なぜこの価格なのか」を説明する原価の根拠がなければ、取引先を動かすことはできません。まず何にいくらかかっているのかを、製品や部門の単位まで分解することが先です。

実際に、製品ごとの原価が見えないまま原材料費の高騰を受けていた食品製造業では、製品別の原価分析で不採算品と稼ぎ頭を切り分けたことで、価格転嫁の方針を整えることができました。値上げに踏み切れずにいた機器卸売業でも、どの事業なら顧客が離れにくいかを分析したうえで価格を改定し、受注を維持したまま黒字化に至っています。

食品製造業の解決策を見る

利益構造から見直す解決策を見る

資金繰り改善 — 資金繰りは、利益ではなくタイミングの問題

資金繰りが苦しい原因は、必ずしも赤字とは限りません。入金より先に支払いが来る、在庫を持ちすぎている、売掛の回収が遅い——こうしたタイミングのずれだけで、黒字の会社でも現金は枯れます。逆に言えば、利益構造に手を入れなくても、回収と支払の条件、在庫の水準、返済のスケジュールを見直すだけで持ち直せる場合があります。厳しいときほど資金調達に意識が向きますが、先に手をつけるべきは、現金がどこで滞留しているかの把握です。

無料相談で状況を整理する

キャッシュフロー管理 — 資金繰り表は、作ることより「先を読む」ために使う

資金繰り表を作っていない会社は少なくありませんが、作っていても過去の記録にとどまっている場合がほとんどです。管理の目的は記録ではなく、何ヶ月先に現金が足りなくなるかを、足りなくなる前に知ることにあります。3ヶ月先まで見えていれば、選べる手段は複数あります。今月末に足りないと分かった時点では、選べる手段はほとんど残っていません。精度の高い予測より、まず粗くても先を見る習慣を持つことが効きます。

無料相談で状況を整理する

資金調達・融資 — 借りられるかどうかは、決算書だけで決まらない

金融機関が見ているのは過去の数字だけではありません。返済の原資をどう作るのか、そのための計画に具体性があるかどうかが判断を分けます。同じ決算内容でも、事業の見通しと資金使途を説明できる会社とできない会社では、結果が変わります。また調達の手段は融資だけではなく、制度融資、補助金、助成金、税制優遇といった選択肢を組み合わせられる場面もあります。必要になってから探すのでは間に合わないため、平時に把握しておくことが差になります。

金融機関から経営改善計画の策定を求められていた食品製造業では、製品別の原価分析にもとづいて計画を作り、あわせて金融機関への報告体制まで整えました。数字の裏づけがあることが、説明の力になります。

支援制度と資金調達の解決策を見る

財務分析・経営指標改善 — 数字を「見ている」と「使っている」は違う

毎月試算表を受け取っていても、それが意思決定に使われていなければ、財務の数字は経理の作業結果にとどまります。自社の損益分岐点はいくらか、価格・数量・原価・固定費のどれを動かせば利益が出るのか——ここに答えられる状態が、数字を使っているということです。指標は多いほどよいわけではなく、業種と自社の課題に合わせて数個に絞るほうが機能します。見る数字を決め、毎月同じ基準で追うことから始まります。

売上を追うことが優先され赤字が続いていた機器卸売業では、損益分岐点と利益感度分析で「どの数値を動かせば最も利益が出るか」を明らかにし、月次の試算表を見ながら実行したことで、判断の拠りどころが勘から数字へ変わりました。

利益構造から見直す解決策を見る

税務対策・節税 — 節税と資金繰りは、しばしば逆を向く

税負担を減らす判断と、手元に現金を残す判断は、必ずしも一致しません。決算前の支出で利益を圧縮すれば税額は下がりますが、現金も同じだけ出ていきます。翌期に大きな投資や返済を控えている会社では、税金を払ってでも現金を残したほうがよい場面があります。税務の実務は税理士の領分ですが、どちらを優先するかは経営判断です。制度の適用可否だけでなく、資金計画と併せて考える必要があります。

税制優遇を含めた支援制度の解決策を見る

補助金・助成金活用 — 制度は「使えるから使う」ものではない

補助金や助成金は、原則として後払いです。採択されても、まず自社が支出し、報告を経てから入金されます。そのため資金繰りが厳しい局面では、制度の活用がかえって負担になることもあります。また、制度に合わせて事業計画を作ってしまうと、本来やるべきだったことから逸れる危険があります。先に決めるのは自社の投資判断であり、制度はそれを後押しする手段という順序が保てるかどうかが、活用の成否を分けます。

支援制度と資金調達の解決策を見る

実際の支援事例

財務・利益の課題に、実際にどう手をつけたのか。中小企業診断士が支援した事例をご紹介します(掲載の許諾範囲で、業種・規模のみ記載しています)。

機器卸売業(年商4億円弱)/期間 約6ヶ月

「値上げすると顧客が離れる」の不安を、分析で解いた

課題

売上を優先する経営が続き前期は赤字。利益率を上げるには値上げが必要でしたが、社長は「顧客が離れてしまうのでは」という強い不安を抱えていました。

打ち手

損益分岐点と利益感度分析で「どの数値を動かせば最も利益が出るか」を検証し、顧客離れの起きにくいメンテナンス事業に絞って価格を改定。月次の試算表を見ながら実行まで伴走しました。

結果:受注数を維持したまま利益率を大幅に改善し、当期で黒字化を達成。

この事例の詳細を見る(管理会計による黒字化伴走支援)

食品製造業/期間 約5ヶ月

製品ごとの原価が見えないまま、原材料費の高騰を受けていた

課題

製品ごとの原価を把握できておらず、原材料費高騰の影響で利益が急減。金融機関からの要請もあり、経営改善計画の策定が急務でした。

打ち手

事業デューデリジェンスと製品別の原価分析で、不採算品と稼ぎ頭を特定。経営改善計画を策定し、価格転嫁の方針を整備しました。

結果:値決めの根拠が整い、金融機関への報告体制まで構築。

この事例の詳細を見る(食品製造業の原価管理・価格転嫁)

飲食業(12席・従業員2名)

原価率50%の小規模店を、「利益が残る構造」から見直した

課題

12席の小規模店。ランチの売上は1日あたり約2万円、原価率は約50%で、売上と利益がともに伸び悩んでいました。

打ち手

売上=客数×客単価、利益=売上−原価−人件費という基本構造に分解したうえで、値上げ・席数の活用・メニュー整理・スポットワーカーの活用など、小規模店でも実行できる施策に絞り込みました。

結果:原価率と人員体制の見直しを、実行できる形まで落とし込み。

この事例の詳細を見る(飲食店の売上アップ・経営改善)

よくある質問

顧問税理士がいますが、経営コンサルタントに相談する意味はありますか?

役割が異なります。税理士は税務申告と会計処理の専門家で、確定した過去の数字を正確に処理することを担います。経営コンサルタント(中小企業診断士)は、その数字を使ってこれからどう動くかを決める側を支援します。損益分岐点の把握、値決め、投資や資金繰りの判断などが該当します。多くの場合、両者を併用することになります。

赤字が続いている状態でも相談できますか?

赤字の状態からのご相談は珍しくありません。むしろ、手元の現金に多少の余裕があるうちに着手できたほうが、選べる打ち手は多く残ります。現金が尽きてからでは、選択肢が資金調達に限られてしまいます。まず現状を数字で整理するところからご相談いただけます。

「黒字なのにお金がない」のは、どこに原因がありますか?

多くは、利益の計算と現金の出入りにずれがあることが原因です。売上の計上と入金の時期が違う、在庫や設備に現金が変わっている、借入の返済は費用に含まれない——こうした要因が重なると、損益計算書だけでは説明がつかなくなります。損益と資金繰りを分けて見ることで、詰まっている箇所が特定できます。

相談する前に、何を用意しておけばよいですか?

決算書が2期分あれば、現状の把握はひととおり可能です。あわせて直近の試算表、資金繰りの予定が分かるもの、主力の商品やサービスごとの売上が分かる資料があると、より具体的な話ができます。すべてが揃っていなくても構いません。手元にあるものからご相談いただけます。

金融機関から経営改善計画の策定を求められています。対応できますか?

対応しているソリューションがあります。数字の裏づけがないまま計画だけを整えても、金融機関を動かすことは難しいものです。製品別・部門別の採算を分解して現状を明らかにし、そのうえで返済の原資をどう作るかまで示すことが要点になります。策定後の報告体制まで整えるところまで支援できる場合もあります。

費用はどのくらいかかりますか?

支援の深さと範囲によって幅があります。現状を診断するスポット型はおおむね5万〜10万円程度、月次で伴走する支援は5万〜15万円程度が目安です。多くのソリューションが初回無料相談を設けているため、まず現状の整理から始めることもできます。

何から手をつければよいか分かりません。

自社の課題が「稼ぐ力(利益率)」「回す力(資金繰り)」「備える力(調達と管理)」のどこにあるのかを見極めることから始まります。同じ「お金が足りない」でも、値上げが必要な会社と、回収と支払のタイミングを直せば済む会社では、打ち手がまったく異なります。まず現状を整理するところからご相談いただけます。

関連する記事(エクト経営コンサルティング)